Driesが語るDrupalの未来:AI、成長、そしてコミュニティの力【DrupalCon Nara 2025】

DrupalCon Nara 2025 DriesNoteの様子
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DrupalCon Nara 2025の基調セッションで、Drupalの創設者でありプロジェクトリーダーのDries Buytaert氏が、Drupalの現在と未来について率直に語った。Q&A形式で展開されたこのセッションでは、Drupal CMS、AI統合、そしてコミュニティの成長戦略について具体的なビジョンが示された。

Drupal Canvas:20年の課題を解決する

「20年間、人々は『Drupalでページを作るのは難しすぎる』と言い続けてきました。私たちはそれを永遠に変えようとしています」とDries氏は力強く語った。Drupal Canvasは、ビジュアルベースのページ構築ツールとして、Drupalの最大の弱点だった使いにくさを克服する。

ニューヨーク州政府の事例が興味深い。140のウェブサイトと300人以上のコンテンツクリエイターを抱える同州は、すでにDrupal Canvasのテストを開始している。彼らが求めているのは単なる使いやすさではなく、州全体のデザインシステム、アクセシビリティが保証された承認済みコンポーネント、そして適切なガバナンスモデルだ。「専門家でない人がアクセシビリティやデザインを壊せないようにしつつ、専門家には創造性を発揮する柔軟性を与える」。この両立こそが、Drupal Canvasの真価だ。

AI統合:弱点を強みに変える

「AIは私たちの弱点を克服し、同時に強みを高めることができます」とDries氏。Drupalの構造化コンテンツ、ワークフロー機能、バージョニング機能は、AIが必要とするものと完全に一致している。AIがページを作成してミスをしても、ロールバックできる。これは多くの競合CMSにはない能力だ。

具体例として、Drupal Canvasでページを作るには通常200〜300クリック必要だが、AIを使えば数秒で最初のバージョンを生成し、最後の微調整だけで済む。「300クリックが30クリックになる」。現在、Drupal AIイニシアチブには約25のパートナーが参加し、Drupal AI Slackチャンネルには1,300人が集まり、実験と貢献が活発に行われている。

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DrupalCon Nara 2025 セッションの様子

サイトテンプレートとマーケットプレイス:参入障壁を下げる

「Drupalサイトを機能させるまで、エキスパートでも数日から数週間かかります。初心者にはさらに困難です」。サイトテンプレートは、この学習曲線を劇的に削減する。モジュール、設定、デモコンテンツ、そしてDrupal Canvasテーマを含むパッケージで、ボタン一つでDrupalサイトが立ち上がる。マーケットプレイスのMVP版は来年ローンチ予定で、10〜15のパートナーが最初のサイトテンプレート構築に協力している。

デジタル主権:オープンソースの新たな優位性

ヨーロッパを中心に、デジタル主権への関心が高まっている。「多くの国が、アメリカのソフトウェアへの依存度を再考しています」とDries氏。ヨーロッパのRFPには「3〜5年後にすべてのソースコードとデータを譲渡すること」という条件が含まれることが増えており、プロプライエタリソフトウェア企業には対応困難だが、オープンソースにとっては当たり前のことだ。「Drupalなら、どの政府も企業に依存せずに採用できます。これはオープンソースの次の大きな飛躍になる可能性があります」。

5年後の成功指標:成長曲線を変える

「すべては成長のためです」とDries氏は締めくくった。Drupal Canvas、サイトテンプレート、マーケットプレイス、AI統合。これらすべての取り組みは、Drupalの採用を再加速させるためのものだ。成功の指標は明確だ。インストール数の増加、貢献者数の増加、そしてリーダーシップに新しい人材が加わること。「初期の兆候は良好です。Drupalへの貢献者数は過去最多で、特に戦略的イニシアチブへの貢献が増えています。イノベーションが戻ってきました」

25年の歴史を持つDrupalが、なぜ今も関連性を保っているのか。その答えはコミュニティにある。「コミュニティと、私たちが持つ価値観と原則です。恐れずに袖をまくって作業に取り組む。それが私たちの強さです」

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