この記事は Dries Buytaert 氏の公式ブログ「dri.es」の翻訳記事です。Driesブログの記事一覧よりすべての翻訳記事をご覧いただけます。
本日、欧州委員会がヨーロッパ技術主権パッケージを発表しました。外国製テクノロジーへの依存を減らすための大きな取り組みです。
今年の初め、委員会がパブリックコンサルテーション(公開意見募集)を実施した際、私は2本の記事を寄稿しました。ソフトウェア主権スケールと、その続編である主権の前提条件です。
そのため今日パッケージが公開されると、すぐにざっと目を通しました。すると18ページの脚注に自分の記事が引用されているのを見つけて、嬉しい驚きがありました!
まだ完全に読み込めたわけではありませんが、ひとつのパートが即座に目を引きました。ヨーロッパ向けの新しいオープンソース戦略です(PDFのセクション4、16ページから)。
主なハイライトはこちらです:
- 重要なオープンソースプロジェクトの資金提供と維持のために、7年間で約20億ユーロ。
- 「公金にはパブリックコード」原則——公的資金で開発されたソフトウェアはオープンに公開。
- 主要なオープンソースプロジェクトを管理するヨーロッパの財団への支援。
- 研究助成全体でのオープンソース推奨。
- 公共調達における「オープンソース優先」原則の導入。
この戦略の中で特に良いと思う点は、オープンソースを「魔法のように自律維持される無料ソフトウェア」としてではなく、持続的な投資が必要なインフラとして捉えていることです。正直、それは嬉しかったです。
オープンソースの支持者たちが何年もの間訴え続けてきた主張であり、私自身もオープンソースを公共インフラとして資金提供するという記事で論じてきたことです。委員会も今や同意しているようで、持続的な資金不足、不確かなメンテナンス体制、そしてオープンソースの普及を妨げる調達上の障壁を問題として指摘しています。
同じく重要なのは、この戦略がオープンソースの意義を再定義していることです。従来のオープンソースを支持する議論はほとんどがコスト削減でした。しかし今回の戦略では、オープンソースはヨーロッパの技術的独立への道として位置づけられています。ヨーロッパが検査し、維持し、制御できるソフトウェア——つまり、ヨーロッパに「行動の自由」をもたらすソフトウェアとして。
これは突然出てきた話ではありません。物語は2024年のドラギ報告書から始まります。ヨーロッパが米国や中国に遅れをとった理由を診断した委員会の画期的な報告書です。委員会はその後1年間をかけてこの診断を政策に変え、今日の戦略はその成果のひとつです。
思考がどれだけ変化したかは、単純な数を数えるだけでもわかります。ドラギの412ページの報告書では「オープンソース」という言葉はたった2回しか登場しません。一方、新しい計画では、約10分の1のページ数の中に300回近く登場しています。オープンソースがヨーロッパの競争力議論の周縁から、主権戦略の中心へと移ったことがよくわかります。
ただし、これがどういう種類の文書なのかは明確にしておく必要があります。これは法律ではありません。企業にオープンソースの使用を義務付けたり、ヨーロッパ全体の調達ルールを書き換えたりするものではありません。しかしそれでも意義があります。オープンソースを原則から政策へと昇格させた——ヨーロッパの主権アジェンダの一部として、実際の資金が裏付けられ、より強固な調達ルールへの一歩として。
この戦略は「EUは現在、年間2640億ユーロを主に米国の独自ITプロダクトとサービスに費やしている」と指摘しています。これは委員会の予算ではなく、ヨーロッパ経済全体が毎年アメリカのソフトウェアに支払っている金額です。
その数字と比べると、7年間で20億ユーロのオープンソース予算はスタートとしては良いものの、非常に小さな一歩です。ヨーロッパがオープンソースに費やす7年分の予算は、米国製ソフトウェアへの年間支出のおよそ3日分に相当します。ヨーロッパはオープンソースを主権インフラとして扱い始めましたが、まだ主権インフラとしての資金規模には達していません。
また、この戦略はもう一言踏み込めていません。調達において、公共機関はオープンソースを「優先(first)」で選ぶよう求めていますが、「必須」とはしていないのです。「優先」はあくまで優先傾向であり、デモが魅力的でデッドラインが迫ってくると、いとも簡単に言い訳を探してしまうものです。
社会が失うわけにいかないシステムにおいては、オープンソースは「優先」ではなく「必須」であるべきです。ヨーロッパはまだそこには至っていませんが、この戦略はその方向への素晴らしい一歩です。
By Dries Buytaert
この記事は 「Europe turns to Open Source for independence」(投稿日:2026-06-03)の翻訳記事です。
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